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米沢・旧三沢村の暮らしと文化を世界へ ベスト・ツーリズム・ビレッジに学ぶ観光シンポジウム開催

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米沢・旧三沢村の暮らしと文化を世界へ ベスト・ツーリズム・ビレッジに学ぶ観光シンポジウム開催
米沢・旧三沢村の暮らしと文化を世界へ ベスト・ツーリズム・ビレッジに学ぶ観光シンポジウム開催

旧三沢村の価値を地域で見つめ直す場に

山形県米沢市の観光まちづくり法人、プラットヨネザワ株式会社(代表取締役 宮嶌 浩聡)がメンバーとして参画する旧三沢村プロジェクト事務局(小野川温泉観光協議会内)は、2026年10月14日(水)、アクティー米沢(山形県米沢市)で観光シンポジウム「世界へ届けたい、三沢村の暮らしと文化 ― 持続可能な観光とは ―」を開きました。会場には地域住民や観光事業者、行政関係者など約30名が集まりました。テーマは、UN Tourism(世界観光機関)の「Best Tourism Villages(ベスト・ツーリズム・ビレッジ、以下BTV)」です。観光庁による制度解説、2024年に認定を受けた山形県西川町の事例報告、旧三沢村エリアの歴史紹介、パネルディスカッションを通じ、地域の価値を世界へどう届け、どう残していくかが話し合われました。

事務局は、かつて「三沢村」(当時の表記は「三澤村」)と呼ばれた米沢市南西部エリアの自然・文化資源を整理し、BTV2026に申請しています。現在は国内審査を経て、UN Tourismによる最終結果を待つ段階です。ただし今回の催しは申請結果を報告するものではなく、地域に残る暮らしと文化をどう伝え、何を大切にしていくかを住民と一緒に考える場として位置付けられました。約半年間の申請準備とリサーチで得た知見をもとに、まず「米沢に住む方々」にこの地域ならではの価値を再認識してもらおうと、三沢村の魅力をまとめたリーフレットも制作され、来場者に配られました。

今回制作した旧三沢村エリアのリーフレット(表・裏)
今回制作した旧三沢村エリアのリーフレット(表・裏)

観光庁と西川町が語ったBTVの意義と実践

前半は3名の講師が登壇しました。観光庁 国際観光部 国際関係室の宮本 優岐氏は、旅行者を多く呼び込むことだけを観光の目的とせず、暮らしが豊かになり、伝統文化が将来へ受け継がれる持続可能な地域をつくることが重要だと述べ、BTVをその指標の一つと位置付けました。旧三沢村エリアに対しては、申請を通じて得た経験やつながりを生かし、地域内の連携をさらに深めてほしいと期待を寄せました。あわせて、日本国内の認定地域すべてが参加する「BTV連携協議会」は世界でも初とされ、UN Tourismからも評価されていると紹介。「持続可能で強靱な観光の国際年2027」にも触れ、地域からの積極的な参画を呼びかけました。

続いて、2024年11月にBTVに認定された山形県西川町から、かせぐ課 商工係の鈴木 悠史氏が登壇しました。国内申請の締め切りまで約2週間という短期間のなか、役場の各課が縦割りを越えて協力し、月山の「雪と水」を軸に、夏スキーや温泉ガストロノミーツーリズムなどを一つのストーリーにまとめ上げた経緯が語られました。

認定後に取り組んでいるのが、旅行者が町を素通りする通過型の観光から、町に立ち寄って巡ってもらう着地型・周遊型の観光への転換です。道の駅にしかわを拠点に、夏でも14〜15℃という月山の湧き水を水風呂に生かしたサウナや、地ビールの製造体験の準備など、町の資源を掛け合わせたコンテンツづくりが進んでいます。月山を舞台にした取り組みが海外メディアで紹介されるなど、発信の機会も広がっていると報告されました。

観光庁 宮本 優岐氏によるBTV制度説明
観光庁 宮本 優岐氏によるBTV制度説明

約400年続く家に伝わる三沢村の歩みと信仰

古民家「孫太郎」オーナーの進藤 俊彦氏の家は、約400年にわたって赤芝地域に暮らし、三沢村の発足時には先祖が村の収入役を務めるなど、代々村の運営に関わってきました。講演では、家に伝わる資料や古地図を交えて、1889年に誕生し1954年に米沢市へ編入されるまで続いた三沢村の歩みが紹介されました。村は山の水と木を生かした林業や水力発電、温泉に支えられ、村域にあった小野川発電所の電力は米沢の町に明かりを、川の水は近隣の工場に工業用水をもたらしました。事務局は、こうして山の恵みを地域の外へも届けてきた歴史が、いまの持続可能な観光にも通じるものだとしています。

さらに、明治期のコレラ流行の記録とともに羽黒神社に伝わる「コレラ菩薩」や、全国で唯一、個人が守り継ぐ即身仏・明海上人など、今も赤芝地域に残る信仰の文化資源についても紹介がありました。

西川町 鈴木 悠史氏によるBTV認定事例の共有
西川町 鈴木 悠史氏によるBTV認定事例の共有

「ギャップ」を出発点にしたパネルディスカッションと今後

後半は登壇者全員によるパネルディスカッションです。「地域が伝えたい価値と、海外の旅行者が求める魅力をどう結び付けるか」「伝統や文化を残し続けるための費用や担い手」「行政と民間の連携」などをテーマに意見が交わされました。出発点となったのは、地域が伝えたい歴史や文化と、海外の旅行者が魅力を感じるものとの間にある「ギャップ」です。地域の中では当たり前に見えるものを外の目線でどう捉え直し、根拠をもって伝えるか。国内選考を担う国の立場、先行して認定を受けた立場、地域で文化を受け継ぐ立場から、次のような視点が示されました。

  • 地域固有の歴史や文化を、裏付けとなる記録とともに残し、発信していくこと
  • 古民家での暮らし体験のように、地域ならではの体験として価値を伝えること
  • まず地元の人が地域を知り、学び合える場をつくること
  • 行政・民間・国が立場を越えて連携し、地域の価値を共有する場を持ち続けること

質疑応答では、BTV認定から2年を経た西川町に、まちの変化を尋ねる声が上がりました。西川町からは、来訪者数は若干の増加にとどまり、大きく増えた実感はまだないとしつつも、役場として地域の魅力を見つめ直し、どう残していくかを考える機会になったこと、町民に西川町の歴史や文化を伝えるきっかけになったことなどが率直に語られました。情報があふれる中での集客の工夫を問う質問には、観光庁から、地域ならではの体験を通じて旅行者自身にファンになってもらい、その人たちが魅力を発信してくれる循環をつくることが一つの手段だとの回答がありました。同じ質問に対し進藤氏は、市町の枠や歴史的な経緯にとらわれず、置賜地域全体で連携して魅力を伝えていくべきだと述べました。

ファシリテーターは締めくくりに、まずは私たちが三沢村をはじめとする地域や歴史に関心を持ち、正しく記録し、発信していくことが、地域の価値を世界へ届け、持続可能な観光につなげるために日頃からできる第一歩ではないかと投げかけました。閉会にあたり、事務局メンバーでもある司会者は、BTVの認定は「ゴールではなく出発点」だとし、結果にかかわらず地域の人々とともに取り組みを続けたいと述べました。事務局は今後、旧三沢村の歴史・文化を学びながら情報発信を続け、旅行者を受け入れる体験環境の整備を検討していくとしています。今回の議論を踏まえ、置賜地域全体での連携も視野に入れながら、持続可能な観光地域づくりに取り組む方針です。

  • 名称:世界へ届けたい、三沢村の暮らしと文化 ― 持続可能な観光とは ― ベスト・ツーリズム・ビレッジの取り組みから学ぶ観光シンポジウム
  • 日時:2026年10月14日(水)13:00〜15:00
  • 会場:アクティー米沢 2階 第1多目的室(山形県米沢市西大通1丁目5-5)
  • 登壇者:観光庁 国際観光部 国際関係室 宮本 優岐氏/西川町 かせぐ課 商工係 鈴木 悠史氏/古民家「孫太郎」オーナー 進藤 俊彦氏
  • 主催:旧三沢村プロジェクト事務局(小野川温泉観光協議会内)
  • 協力:山形県西川町

出典:プラットヨネザワ株式会社